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家庭での暴力

夫婦または恋人からの肉体的・精神的暴力を、一般には「ドメスティックバイオレンス(DV)」と呼びます。 DVは離婚問題と深いかかわりがある事が多いので、ここでは少し詳しく解説します。

ドメステックバイオレンスとは?

探偵として仕事をしていると、よく夫婦間での暴力が関係した相談や依頼を受けることがあります。 夫が浮気した上に暴力までふるうという相談のケースが大半ですが、たまに「妻を殴っていたら家を出られたから居場所を探してほしい」 という夫からの信じられないような相談もあります(もちろんそんな依頼は受けません)。このような暴力絡みの案件は特に最近になって増えてきています。
このように夫婦または恋人からの肉体的・精神的を、一般には「ドメスティックバイオレンス」と呼びます。 この英語のことばを直接日本語になおせば「家庭内暴力」となりますが、この呼び名はどちらかといえば 「親子間での暴力」というイメージが日本で定着してしまっているため、夫婦間の暴力をあらわす場合には英語の呼び方をそのまま使っているようです。 離婚問題と深いかかわりがあるため、少し詳しく紹介しておきます。

ドメスティックバイオレンスの種類

ひとくちに暴力といっても、普通にイメージされている「殴る・蹴る」という肉体的な暴力だけではありません。

  • 身体的暴力(殴る・蹴る・髪をつかんで引っ張りまわすなど)
  • 心理的暴力(人格を否定するような言葉を繰り返し言われるなど)
  • 社会的暴力(外出や人付き合いを禁止されるなど)
  • 経済的暴力(生活費をわたさないなど)
  • 性的暴力(望まない性行為を強要されるなど)

これらすべてがドメスティックバイオレンスと認められています。また、実際のケースでは殴りながら言葉で罵倒するなど、複数の暴力が同時におこなわれることが多いようです。

暴力があたえる影響

専門家の調査によると、ドメスティックバイオレンスには打撲・骨折など外傷の他にも、直接の被害者(おもに妻)や暴力を目撃した子供に幅広い悪影響をおよぼすということです。

身体的影響 殴られたりすることによって身体に傷をうける。
精神的影響
不眠・無気力・自殺願望などが精神的な苦痛を繰り返しうけることで発生する。
子供への影響 父親が母親に暴力をふるう場面を見て育つことによって健全な発育が妨げらる。また、暴力をうけた母親の怒りのはけ口として子供が虐待されるケースもある。

暴力は繰り返される

ドメスティックバイオレンスがおこなわれた後、暴力をふるった本人(夫)は一時的に反省し、被害者(妻)に対してとても優しく接する時期があります。これは『ハネムーン期』と呼ばれるドメスティックバイオレンスの大きな特徴です。被害者である妻は「こんなに反省しているんだから今度こそやりなおせるに違いない」と思い込んで本格的な対応が遅れ、結局また同じ暴力が繰り返されることになります。
また、日常的に暴力を見ながら育った子供は、自分が大人になってからも家庭内で暴力をふるうようになる割合が高いという調査結果もあります。このような「暴力の連鎖」もドメスティックバイオレンスの特徴です。

避難場所と相談窓口

平成14年4月から「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)」が施行されましたが、それでも被害者を公的に救済・支援する機関や制度が十分だとは言えません。まだまだ民間団体の頑張りによって支えられている面も大きいようです。以下に、ドメスティックバイオレンス被害をうけた時の代表的な相談・避難機関をまとめましたので参考にしてください。

おもな相談・避難機関
婦人相談所 都道府県に必ず1ヶ所は設置されている公的機関。ドメスティックバイオレンスに関するカウンセリングや相談機関の紹介、被害者や家族の一時保護、被害者の自立支援などを無料でおこなっている。
民間のカウンセリング 婦人相談所と同じく、悩みの相談をおこなってくれる民間機関。有料・無料どちらもある。
法律相談 各地の弁護士会や行政機関がおこなう法律相談。ドメスティックバイオレンス以外にも、離婚調停や法律手続きなど夫婦関係全般の相談ができる。基本的に相談は無料。
民間シェルター 会員からの寄付や会費で運営されている民間の避難場所。非常に低料金(1日1000円など)の料金で利用できるが、定員があるためすぐに入所できるとは限らない。

離婚を考えた場合の対処法

あまりに暴力がひどく、もはや夫婦関係を修復できる見込みがないというケースでは離婚という結論になるでしょう。離婚を前提とした場合、どんな対処をすれば良いのか考えてみます。

暴力の証拠を残しておく
ちょっとした怪我でも医師の診断書をもらう。暴力がおこなわれた直後の散乱した部屋の様子を写真に残しておく。警察や近所の人に助けを求める。いずれも「家族以外の証人を作る」というのがポイントです。


財産分与で不利にならないための対処
ドメスティックバイオレンスから離婚に至る場合は、ほとんどの夫婦が離婚前に別居または家庭内別居の状態になるそうです。夫の性格にもよりますが、別居している間に夫婦の共有財産を勝手に処分(または名義変更)されないように注意したほうが財産分与の時に損をしなくて済みます。できる限り実印や預金通帳は自分が管理して、別居すると決めた時から共有財産も整理しておいた方が良いでしょう。


できるだけ実家へは逃げ込まない
よく言われていることですが、やはり実家へ逃げることはあまりお勧めできません。加害者(おもに夫)は妻の実家の住所を知っていますし、逃げられたことによって逆上して暴力が過激になる可能性もあります。住民票を新しい住所地に移したり携帯電話の請求書送付先を変更するのも危険です。やはり婦人相談所にある一時避難所や、民間のシェルターを利用する方が安全だといえるでしょう(証人を作るという点でも有効です)。

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