離婚で損する人・得する人。離婚相談室。

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離婚で損する人・得する人


夫は33歳の会社員。外で不倫するようになり、家庭内では暴力を振るう。夫婦には4歳の子供が一人。・・・まったく同じ条件を用意して、A子さんとB子さんが、どう対応したのかシミュレーションしてみます。

離婚後のA子さん
収入 支出
慰謝料
▲450万
 
財産分与
▲200万
 
調査費用
 
▼25万
その他
慰謝料 ▲150万
※浮気相手から
 
合計
▲775万円

離婚後のB子さん
  収入 支出
慰謝料
係争中
 
財産分与
係争中
 
調査費用
 
▼180万
その他

 
合計
▼180万円

最初の条件が同じだったのに、どうして二人の主婦にはこのような差が生まれたのでしょうか。
理不尽な夫に負けることなく賢明な対応ができたA子さん、慌てるばかりで何もできなかったB子さん、それぞれのケースについてご覧ください。
A子さんの場合
夫は仕事が忙しいといって1年半ほど前から深夜に帰宅するようになった。暴力をふるわれることも多くなり「気に入らないなら一人で出ていけ!」と怒鳴る始末。この時点で離婚を決意していたA子さんは、夫に見付からないよう図書館やインターネットで情報を集めながら準備を始めた。

法廷に出ても勝てるだけの証拠を取るため、まずA子さんは自分でできることから始めた。暴力をふるわれた時はかならず医師の診断書をもらい、夫が暴れた直後の散乱した部屋の様子も詳細な日時とともに写真に収めておいた。同時に、夫の帰宅が遅くなるパターンを把握して、探偵社に素行調査を依頼することにした。夫の服の趣味が変わったことや自宅へ頻繁にかかってくる無言電話から、女の存在を高い確率で予想していた。

電話帳やインターネットで探偵社を探し、できる限り自分で事務所へ足を運んでみた。そして、打合せをかさねた末、料金は安いが誠実そうな探偵社に依頼することにした。月曜から金曜まで会社帰りの尾行調査で、料金は先払いの25万円。

夫には何の素振りも見せず調査報告を待つA子さんの元に、決定的な証拠が取れたという連絡があった。さっそく探偵社へ確認にいったところ、確かに対象者と若い女性が一緒に食事をしているところや、ラブホテルから出てくる様子が撮影されていた。さらに浮気相手の女性の情報を調べるため、6万円で追加調査を依頼。調査の結果、相手の女性が対象者と同じ会社に勤務する独身女性であることが判明した。

そんな矢先、夫から離婚の申し出があった。「引越し費用を100万円払うから今すぐ子供を置いて離婚しろ」という理不尽な内容だったが、A子さんは突っぱねた。ここでも暴力をふるわれたが我慢して、きちんと医師の診断書をもらっておいた。

機が熟したと見たA子さんは、家庭裁判所に調停を申し出た。調停期日に呼び出された夫は、数々の証拠を初めて見せられて愕然とした。裁判まで徹底的に争うつもりだったA子さんの予想に反して、ほどなく離婚調停が成立した。婚姻破綻の原因は夫にあると全面的に認められた調停内容で、慰謝料450万円、財産分与200万円。月々の養育費支払いはもちろん、子供の親権もA子さんが得た。

以前調査してもらった探偵社のアドバイスにより、A子さんは浮気相手にも慰謝料の請求をした。浮気の証拠を見せられた相手は争う気も失せたようで150万円の支払いで示談成立。次第に養育費の振込みが遅れてきた元夫だったが、裁判所からの履行勧告を見るやすぐに振り込むようになった。どうやら根は気が小さな男だったらしい。

女性向けのハローワークで仕事を得たA子さんは、その後もシングルマザーとして子供と元気に暮らしている。

B子さんの場合
夫は仕事が忙しいといって1年半ほど前から深夜に帰宅するようになった。暴力をふるわれることも多くなり「気に入らないなら一人で出ていけ!」と怒鳴る始末。おびえるB子さんは自分がしっかりしていないからだ、と思うようになり、暴力をふるわれるたびに謝るようになった。

友人にも相談してみたが、まだ小さな子供を抱えたまま離婚するのは早すぎるのではないかと言われた。たまたま部屋の片付け中に、夫と見知らぬ若い女性が写った写真を発見するが、これについて夫は「会社の慰安旅行で撮っただけだ!」と言い切り、勝手に写真をみたB子さんへさらに暴力をふるった。

浮気の証拠があれば離婚する決心も付くと思ったB子さんは、急いでいろいろな広告から探偵社を探し、いちばん大きく宣伝を載せていた探偵社に調査を依頼することに。仕事帰りを5日間調査するのに180万円という金額だったが「どこもこの位の料金ですよ。絶対に証拠は取れますから」と言われたので、その場で依頼を決めた。料金は自分名義の預金から引き出し、足りない分は実家に嘘を言って借りた。

調査依頼から1ヶ月近くたっても探偵社からは何の連絡もない。電話で催促したらようやく薄っぺらい報告書が自宅に郵送されてきた。夫の仕事中だったから良かったものの、夫がいる時にこんな郵便物を見られたら大惨事になるところだった。調査結果は「不貞の事実なし」とのことで、何枚か夫が一人で写っている写真が付いていただけだった。夫が深夜に帰宅した日でも夜8時すぎに帰宅したことになっており明らかに不審な報告書だったが、探偵社に問い合わせてみても「その報告で間違いありません」の一点張り。やがて電話にも出てくれなくなった。

そんな矢先、夫から離婚の申し出があった。「引越し費用を100万円払うから今すぐ子供を置いて離婚しろ」という理不尽な内容だったが、もう忍耐も限界にきていたB子さんは離婚届に署名・捺印して夫に渡し、逃げるように家を出た。財産分与や養育費などがあることは思い付かず、親権の記入欄も空白のまま離婚届を置いてきた。

離婚してしばらくは実家に身を寄せていたB子さんだったが、約束の引越し代100万円がまったく送られてこない。嫌々ながらも親に頼んで相手へ連絡してもらったところ「そんな約束はまったくしていない。向こうが別れたいと言ったから別れただけだ」と言い張り、1円たりとも払う意思を見せる様子はなかった。B子さんは夫から100万円払うと確かに聞いたが、それを証明する念書もなければ公正証書もない。もちろん証人もいない。

ようやくB子さんも本やインターネットなどで離婚について勉強を始め、かなり自分が不利な状況になっていることを知った。家庭内暴力も今ではドメスティックバイオレンスとして認められていること、協議離婚する時の約束は文書で残しておくべきということ、探偵社の選び方を間違えていたこと、せめて弁護士に法律相談をしておけばよかったこと。今にして思えば間違いだらけの対応だった

さすがに今さら離婚届を無効にしてもらうことはできないが、せめて幼い子供の監護権だけでも自分のものにして、あとは時効前に慰謝料と財産分与を請求してみるしかない。自分に有利な証拠が何も残っていないB子さんの苦労は、まだ続きそうだ‥‥。

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