財産分与のために相手の隠し財産を探し出す方法
離婚することになったとき、気になるのは財産分与でしょう。
財産分与とは、夫婦の共有財産を公平に分けるための手続きのことです。
基本的には婚姻期間中の夫婦が築き上げた財産は、ぴったり二分して分けられることになっています。
ですが、どちらかが財産を隠していた場合、公平に分けられることはなくなります。
今回は、財産分与で損をしないために、隠し財産を見つけ出す方法をご紹介します。
離婚を控えている方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。
財産分与の対象となる財産にはどんなものがある?
隠し財産を見つけるために、まずは財産分与の対象となる財産とはどういったものか、を把握しておく必要があるでしょう。
財産分与の対象となるものは婚姻期間中に築き上げた夫婦の共有財産です。
具体的には、
- ・結婚してからの預貯金
- ・夫婦で使っている車
- ・結婚後に購入した家などの不動産
- ・結婚後に購入した家具や美術品
- ・夫婦が契約している生命保険や学資保険
- ・夫婦名義の投資信託や株券
- ・退職金
- ・現金、その他
などです。
ただし、どちらかの実家の親族から譲り受けた財産や、独身時代から持っていた個人の預貯金に関しては財産分与の対象とはなりません。
あくまでも、夫婦生活を営むために互いが協力して得た財産が、離婚時の財産分与の対象となります。
財産隠しのよくある手口とは?
次に、財産隠しのよくある手口について見ていきましょう。
1. 配偶者に秘密で口座を作り、そこに預金する
普段利用している銀行口座とは別に隠し口座を作り、そこに収入の一部を預金していくことで、配偶者に財産の全額ががバレないようにしておく、という手口はよくとられます。
へそくりのような感覚ですね。
また、通帳やカードが不要のネット銀行を利用して財産を隠している場合もあります。
2. 第三者名義の口座に送金する
自分の口座ではなく、信頼できる第三者の口座に送金して預かってもらうことで、財産分与を逃れようとするという手口もあります。
不倫をしている人が不倫相手に自分の貯金の一部を送金して、財産を分散させて管理しているという事もあります。
知らない第三者に定期的に送金している、などの事実があった場合、隠し財産がある可能性を疑ってもいいでしょう。
3. 法人を設立して入金する
個人の財産としておかずに、法人を設立して入金し、会社のお金だとして財産分与を逃れようとするケースもあります。
本当に会社のために使うお金なのか、ペーパーカンパニーなのかは、調べれば判明する可能性があります。
あれは会社のお金だから、と言われてもあきらめず、怪しい場合は会社の実態について調査してみましょう。
公平な財産分与のために! 財産隠しをさせない方法とは?
財産隠しをされてしまうと、その事実を暴くのは困難です。
それよりも簡単な方法は、財産を隠せないようにすることです。ここでは、財産隠しをさせないための3つの方法を見ていきましょう。
1. 財産のチェックを済ませるまで、離婚する意志を伝えない
第一に、財産のチェックをすべて済ませるまで離婚する意思を伝えないでおくことが大切です。
先走って離婚する意志を伝えてしまうと、そこから財産隠しの行動を開始されてしまう可能性があるためです。
離婚することが決まったらスムーズに財産分与の手続きができるよう、離婚したいと思った時点で、自分たちの財産の状況を調べておきましょう。
2. 口座のお金の流れ、郵便物などから財産の証拠集めを行う
次に大切なことは、口座のお金の流れを把握しておき、郵便物などから財産の証拠集めを行なっておくことです。
相手の通帳などを確認できる状態ならば、定期的に残高や入出金状況をチェックしておきましょう。
また、銀行に口座を作っていると、銀行からのダイレクトメールや重要なお知らせなどの郵便物が届くことがあります。
相手への郵便物を勝手に開封するのは控えるべきですが、どんな郵便物が届いているかは、日頃からチェックしておくようにしましょう。
覚えのない金融機関や証券会社などからの郵便物が届いていたら、要注意です。
3. 保全処分手続きを行う
相手が財産を使い切ってしまう恐れがある場合は、財産の保全処分手続きを行っておきましょう。
財産の保全処分手続きとは、財産分与がなされるまでの間に、相手が財産を消費してしまったり勝手に処分してしまう事を防ぐために、仮差押えをして現状の財産を保全することです。
財産の保全処分手続きを行うには、管轄の家庭裁判所に申し立てを行い、審理の結果認められる必要があります。
詳しい方法は、法テラスを利用するなどして、法律の専門家に相談してみましょう。
財産分与で損しないために、隠し財産を見つける方法とは?
財産分与で損をしたくないなら、やはり弁護士に相談するのが得策です。
弁護士に依頼し、弁護士法第23条の2に基づく照会制度を使えば、金融機関などに情報の開示を求めることができます。
【参考】 弁護士法第23条の2(e-Gov法令検索 より引用)
そうすることで隠し財産を明るみに出すことができます。
金融機関などへの開示請求は、先述の照会制度を使用できる、弁護士資格を持つものでない限り行うことができません。
弁護士はお金がかかるから、と頼むのを躊躇するよりも、面倒でも弁護士を通して財産分与をした方が、得策な場合も多々あります。
財産分与を行なった後に隠し財産が見つかったらどうなる?
最後に、財産分与が終わり、離婚したあとに隠し財産が判明した場合の対処法についても確認してみましょう。
既に財産分与をしていても、相手が財産隠しをしていたことが判明した場合は、「錯誤による無効」を主張できる可能性があります。その場合は、もう一度財産分与をし直すことが可能です。
ただし、財産分与の請求ができるのは、離婚が成立してから2年以内ですので、財産分与をやり直したい場合は早めに行動を起こしましょう。
まずは本人に直接連絡してみて、支払う意思がないようであれば、内容証明郵便を送って財産分与の請求をしましょう。
内容証明郵便を送っても対応してくれない場合は、家庭裁判所に財産分与調停を申し立てましょう。
調停では、調停委員を介して、財産分与について再び話し合うことができます。
調停で合意に至らない場合には、審判になります。
審判で隠し財産について明らかになり、支払い命令が出されれば、相手はその命令に応じざるを得ません。
財産隠しにより不利益を被った場合は、諦めずにできる対処をしましょう。
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